プロジェクトの肥大化
自分が参加しているプロジェクトが早いもので、スタートから2年が経ちました。
ありがたいことにお客様の数は増え続けており、今でも多くのお客様に使って頂いております。初期の頃と比べると、かなり機能がリッチになりました。
元々は、「シンプルさを保っていこう!」というKISSの原則
に従い、誰が見ても初見で使えるアプリを目指していました。
意味するところは、設計の単純性(簡潔性)は成功への鍵だということと、不必要な複雑性は避けるべきだ
こちらの書籍でもKISSの原則
が紹介されています。
しかしながら、お客様が増えると様々な声が上がってきます。
- 〇〇という機能が欲しい!
- 既存のこの機能をもっとカスタマイズしてほしい!
- 社内システムと連携したい!
など...
気がつけば、シンプルさを売りにしていたことを多くの人が忘れて、この提案された機能、仕様の実装に取り掛かってしまいます。自分はスクラムマスターなので、「いやいや、この機能はコンセプトからずれている」だとか「仕様が複雑すぎて使いこなせないよ」という話を提言したりします。
しかしながら、声の大きなお客様(大きな企業の...)に対しては自分の発言は無力な時があるのです。
欲しいと言われた複雑な機能を作った結果
どうしてもほしい!と言われたので対応をしました。
結果的には要望元のお客様が使いこなせない、設定を代行し、どの設定の時に、どういう動作をするのかを把握できる人物がほとんどいないという状態になりました。また、他のお客様には不要な機能であるため、使って頂けず、UIを複雑化させてしまいました。
使われていない AND 複雑なため取り除きたい機能ではありますが、それでも要望元のお客様が使っている以上、気軽に取り除くことも出来ないという最悪の状態になってしまいました。この複雑な機能を保守していかなければならないのです。
今回の教訓
実装時に開発者(エンジニア)から、「こんな複雑なもの使いこなせるんですかね」という声が上がっていました。自分もそう思います。しかしながら、上からの圧に負けて「GO!」の判断をしてしまいました。
「開発者が複雑だと思う機能は当然、ユーザーにも使いこなせないのだ」ということを改めて学びました。あるべき姿、ストーリーを把握している我々が、本当に必要かどうかを判断しないといけません。言わば、最終防衛ラインです。プロジェクトを間違った方向に向かわないようにコントロールしてあげなければいけません。
スクラムでは実際に作業する人たちが見積りをする。作業の量を見積もることが、自分たちの作業について考える良い機会にもなるんだ。
対策法
そのためにもプロジェクトがどういう方向に向かっているのか、強みは何か、ターゲットはどの層なのかをチームで再定義すると良いというアドバイスをメンターの方から頂きました。いわゆるインセプションデッキ
というものだそうです。
インセプションデッキ
を用意することで、「いや、その機能はコンセプトからずれてる」など発言がしやすくなりますし、インセプションデッキ
に記載されている以上、妥協することも難しくなるとのことです。
スクラムマスターとしてプロジェクトが正しい方向に向かうように導くのは簡単な事ではありませんが、今回の教訓を元に認識を改めようと思いました。