やわらかテック

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コーチングがない組織が行き着く先はBADENDでしかない

最近はチームビルディングについて思い悩まされる日々を過ごしています。僕は過去に外部メンターの方からマネジメントにおいて重要なのは「ティーチングとコーチングの違いを理解すること」だと教えて頂きました。

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当時は教育を担当しているエンジニアの方に言語の文法や仕様についてなど、今よりも低い視座で経験を積んでいました。しかし、時が立ってメンバーが成熟したことで、文法や仕様について僕がとやかく言うことはなくなり、より組織構成やチームビルディングといった視座の高い課題に取り組めるようになりました。

今になって思うと、当時の僕はティーチングとコーチングの違いについて認識してはいるものの、なぜ分けなければならないのかという本質的な理解ができていませんでした。視座が上がり経験を積んだことで、ティーチングとコーチングが分かれていない組織が行き着く先がどこなのかが何となく分かってきたので自分の考えをまとめてみようと思います。

ティーチングは時に考える力を奪う

まず伝えておきたいのは、ティーチングすることは悪いことではありません。
お互いに知識がない状態では話が進まないという場面はいくらでもあるので、そういった場面ではティーチングは絶対に必要になります。問題はティーチングの頻度とやり方にあります。
最近、ティーチングを考える上で切っても切れないと感じているのはマネジメントの体制です。特にマイクロマネジメントが必要となる組織とティーチングの相性は非常に悪いと感じています。

一例として、現場上がりのベテランがマネジメントポジションにいて、その下に若いメンバーが複数人所属するような組織を考えてみます。何か問題があった時、ベテランはすでに答えを持っている・質問を聞いてすぐに答えを出してしまうようなケースが多く、若いメンバーが自ら考える力と気力を奪ってしまいます。

この現象は広木さんの著書「エンジニア組織論への招待」では自己組織化に欠かせないものとして「自己説得」と「他者説得」という2つの言葉と共に紹介がされています。

  • 自己説得: 人から与えられた知識・情報による理解
  • 他者説得: 自分自身で導き出した理解

※書籍で紹介されている説明を一部、変更しています。ぜひご自身で書籍を読んでみてください。

この組織の行き着く先

マネージャーの視点で考えてみると、若いメンバーにスムーズに仕事を進めてもらい、スケジュール通りに事が運ぶことを期待しています。そのために、なるべき早く情報を提供したり、的確な回答をするというのはおかしな話ではありません。ただ、若いメンバーからすると自分がやることが全て決められている、考えて取り組むことがない、つまり言われたことをやれば良いだけという状態になっている訳です。

「言われたことをやれば良いだけ」という状態が、どれほど退屈なものか...。
最初こそ、一定のレベルまでメンバーの成長はあるかもしれませんが、ある程度のレベルに達した以降、そこに学びはほとんどありません。次第にモチベーションは下がり、時には退職者が出るでしょう。そして、退職者が出たという事実によって新たな退職者が出る...負の連鎖は続いていきます。

これが最近、僕が感じているティーチングが先行する組織の行き着く先です。
大袈裟な話かもしれませんが、何年も「言われたことをやれば良いだけ」という状態が続いているのであれば、十分に考えられる結末です。まさにBADENDですね。

ここまできてコーチングの重要性が分かる

組織が手遅れになる前に気づかないといけないのは、冒頭でも書いたように「ティーチングとコーチングの違い」です。ティーチングは必要な場面はあるものの、常にティーチングを続けていると他者説得になってしまい、相手のやる気と思考を奪います。

ここで効いてくるのがコーチングであり、相手の考える力を養う(奪わない)ためには絶対に必要になります。
まずは「ティーチングとコーチングの違い」について理解し、チームを育成していきたいのであれば、マネージャーは成長を促進させるという意識を持たねばなりません。その上で、使える場面ではティーチングを避けて積極的にコーチングをする必要があります。

ただポジションを上げるのは危険

「偉大なプロ野球選手が必ずしも偉大なコーチになるわけではない」

...と言われているように、マネージャーも同様です。もちろん、本人の適性もありますが、現場でどれだけの経験を積んできたとしても、マネージャーにはマネージャー特有の理解と知識が必要になります。
ポジションを上げてマネージャーにすれば良いという安直な考え方は非常に危険で、時には組織を崩壊させる可能性があることを留意しなければなりません。

最後に

偉そうに語りましたが、自分自身、コーチングできているのか分かりませんし、ティーチングしてしまっていることもあるでしょう。ただ、まずはマネジメント層のメンバーが「ティーチングばかりしていると他者説得になり相手のやる気を奪ってしまう」という意識を持つことが一番重要だと思っています。

それに気づかせてくれたのは、広木さんの著書「エンジニア組織論への招待」のおかげです。
マネージャーに関わらずチームや組織に所属する人は一度は目を通して、お互いの立場を理解し自己組織化について考えてほしいなと思います。

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