やわらかテック

興味のあること。業務を通して得られた発見。個人的に試してみたことをアウトプットしています🍵

【頭おかしい(褒めてる】ゼロからトースターを作ってみた結果を読了

なぜ読んだのか

下記ブログにて紹介されていたところを発見し、ぶっとんだタイトルとおそらく著者が作成したであろうトースター?のサムネイルが強烈すぎて、これは読まずにはいられない!!とAmazonにて即購入。中古品でだいたい600円ぐらい。新品だと税別で750円の模様
著者が当時は大学院だったというバックグラウンドも面白いと思った
※ブログ運営費のためリンクを貼らせて頂きます

いわゆる文庫本のサイズでページ数は約200ページ程。元々がブログであったためにシンプルかつユーモアな記述でスラスラと読むことができ、2時間ほどで読了

概要

お察しの通りだが、タイトルのままである
著者トーマス・トウェイツは突如「トースター」を作ることを決意する。トースターとは何か。日本人ならば誰しもが知っているパンを焼くアレだ
そんなトースターをゼロから、つまりは実際に鉄鉱石を採取して精錬して型を取るようなレベルから作成が始まる
30ページぐらいにはキャリーバック1つでツルハシも持たず鉱山に鉄鉱石を堀りに行き出して最高にぶっ飛んでいる

その中で様々な問題にぶち当たり、バカなのか天才なのか(褒めてる)と思わせるアイディアで問題を乗り越えていく

本書で扱うメインのトピックは個人視点で3つ

  • 金属について
  • プラスティックについて
  • これまでの製作を経て、実際にトースターを焼くまで

それぞれのトピックに問題とアイディアがあり、経験を経て著者が何かを感じていく..
いかに自分の力が世界のスケールでは小さいもので、身の回りには長い歴史を得て形作られた様々な技術が溢れていることに気づいていく

著者のTwitterが無いものかと調べたところTEDでの公演を発見したので少しでも興味があれば視聴してみてはいかがでしょうか

www.ted.com

プロダクト視点で面白いと思ったポイント

個人的にいいねと思ったのは2点ある

専門家に相談するということ

1つは無謀とも思えるトースターをゼロから作り上げるためにどのような計画を立てれば良いかという部分で非常に感心させられた
著者は当時デザインを学ぶ大学院生であり、電気機器や電気回路の知識が必ずしもある状態ではない。その状態でスタートして、最終的にトースターを作れたのは何故なのか?(パンは焼けなかったけど..)

著者が最初に行なったことは「トースターの分解」であり、すなわちリバースエンジニアリングとよばれる作業だ
市販のトースターを一度、細部まで分解してみることで

  • どんな材料が必要なのか
  • どんな作業が必要なのか
  • どんな道具が必要なのか
  • どんな技術を知る必要があるのか
  • どんな知識を知る必要があるのか

という点をリスト出しすることで何をすればいいのかをハッキリさせている
その上で、同大学の鉱石の分野で活躍している教授、鉱山職員や、企業、多くの専門家の意見やアイディアを取り入れていく
分からないことは専門家に聞くというフットワークの軽さに驚いた

私が推しているElxiirの前衛となったErlangというプログラミング言語の作者の1人であるJoe Armstrongも以下の記事でこう答えている

問題を解決する際には、まず最も難しい問題から解決せよ
最も難しい問題が何であるかは専門家に聞け

postd.cc

素人には何が最も難しい問題なのかを判断することがそもそも出来ない。何が最も難しい問題なのかをハッキリさせるためにも専門家の協力を仰ぐということは非常に重要なことだということをJoeは語っている

日本では他社に協力を求めるという行為はあまり推奨されない。それ故に著者の当たり前のようなこの行動に思わず「いいね」と思った

身近にあるものは多くのモノの集合であること

トースターを家電屋で買おうと思えば1000円もあれば現代では十分だろう
しかしながら、トースターがトースターというものを型取るためには多くの材料と技術が使用されている

電気回路を作成するための基盤や、パンをトーストするための発熱体、電源コード、カバーに至るまで多種多様だ
上げればキリが無いが、どれか1つ欠けてもトースターはトースターになることはない

どれだけ鉄の精錬を熟知していてもそれはトースターを作る過程ではある1つの知識にしかなり得ない
しかしながら、鉄の精錬を熟知しているものがいなければトースターはいつまで経っても完成しないだろう

現代の物の多くが相互、影響を与え合って作られている。そのことに気づき、我々に伝えてくれる著者に「いいね」と思った

ここに書いていないこと

なぜ倫理をもって技術を考えるべきなのかという著者の考えがまとまっており、この部分はぜひ自身で読んでみてほしい(要約: 買ってね)
人によっては考え方が分かれそうなので、あえて記述しません