やわらかテック

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ミヒャイル・エンデ作のモモは現代の大人こそ読むべき本だった

昨日、ミヒャイル・エンデ作の「モモ」という書籍を読了しました。
この本は児童文学として書かれているので、普段の自分とは縁もゆかりもない書籍です。一週間前にアップロードされたアバタローさんの解説動画を見て「何だこの本は...面白そう」と思い、いつものように衝動買いをしました。

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大学生の時はよく小説や文学を読んでいたものですが、最近となっては技術書ばかりを読んでいたので、ちょっとした息抜きということで読み進めていたのですが、良い意味でモモには驚かされました。

エンデによる現代社会への痛烈な風刺は非常に的を得ています。子供だけではなく、現代を生きている我々のような大人こそ、エンデ作のモモを読むべきだと感じました。

あらすじの概要

先ほど紹介したアバタローさんの動画で丁寧に解説されているので、サクッと手短に(時間どろぼうに狙われるかもしれませんが...)あらすじを紹介したいと思います。

あらすじ

ある日のこと、モモという女の子が町外れの円形劇場の跡地に迷いこんできます。
周辺の人々は身寄りのないモモを心配して、食料や生活に必要なものをモモへおすそわけしました。モモのことをとても幸運な子に感じてしまいますが、本当に幸運だったのは周辺の人々です。なぜかというと、モモに話を聞いてもらうと不思議と幸せな気持ちになるからです。モモに人の話を聞くのがとても上手でした。こうしてモモと周辺の人々はとても幸福な時間を過ごしていました。

しかしある日のこと、街に灰色の男たちがやってきます。黒いコートに灰色の顔、口には葉巻を加えている彼らは人間の時間を奪って生きる時間どろぼうです。

「夢を叶えたくないのか」
「おまえは人生でどれだけの時間を無駄にしてきたのか」
「時間を取り返すには時間を節約するしか無い」

...と巧みな手口で人々に時間を節約させて、その時間を奪い取ります。 時間を奪い取られた人たちは怒りっぽく、何もかも退屈になってしまい、何のために生きているのかを忘れてしまいます。やがて時間どろぼう達によって、街は埋め尽くされてしまいました。

モモは灰色の男たちから、友人たちを助け出すべく立ち上がります。

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なぜ大人こそモモを読むべきと感じたか

モモの世界で灰色の男たちによって時間を奪い尽くされた世界は現代の社会に通ずるところがあります。
技術の発展によって、私たちの生活は目まぐるしほど、豊かになったはずなのに多くの人が「時間がない」と口にしています。またその一方で「なぜ生きているのか分からない」と感じる人たちも大勢います。日々、何となく働き、何となく生きていると「何のために生きているのか」が分からなくなってくるのです。

まさにこれはモモの中で時間どろぼうたちによって時間を奪い尽くされた世界そのものです。
なぜ、これだけ豊かになっても幸せを感じることができないのか。モモの物語の中にその答えはありました。時間どろぼうがはびこる現代こそ、我々はモモ読むべきだと感じました。

登場人物たちの名言

時間との向き合い方以外にも、生き方を考えさせられる多くの名言があるので簡単に紹介します。

「つぎの一歩のことだけ...つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。」

道路掃除夫ベッポがモモに自分の仕事の取り組み方を話す場面での一言です。
とっても長い道路の掃除をうけもった時に、遥か先を眺めて「うわ、まだこんなにも掃除しないといけないのか...」とやりきれない気持ちになってはいけないとベッポは言います。


「次のひと掃きのことだけのことだけを考える。次のひと掃きを繰り返していると、気づいたら息もきれていないのに掃除が終わっている。どうやってやったのか自分にも分からない。これが大事なんだ」


仕事への取り組み方を考えさせられます。大きな機能実装を担当すると、やることの多さに身が縮んでしまいます。しかし、ベッポに言わせればそうではなく、次のひとタスクのことだけを考えれば良いのです。

(※簡単のために内容をまとめているため、原文とは異なります)

「人生でいちばん危険なことは、かなえられるはずのない夢が、かなえられてしまうことなんだよ」

モモの親友の一人である観光ガイドのジジが灰色の男たちによって時間を奪われてしまった結果、誰もがうらやむ成功者になったものの今の生活は地獄だとモモに語った際の一言です。

ジジは元々、モモのために自分が作った物語を話すのが大好きだったのですが、灰色の男たちの根回しによって世間のために効率よく物語を話さなければいけません。やがて物語が底をつき、結末を少し変えただけの物語を話すことになり、最終的には同じ話を少しだけ変えて話すようになります。ただ、誰もこのことに気づかず、ジジは心をすり減らしていきます。

自分の成功は何一つ、自分の力によるものではなく灰色の男たちによって作られた偽物の成功だと分かっていながらも、その生活から逃げ出すことができずに地獄のような日々をジジは送っていました。多くの人が「有名になりたい」「成功したい」という願望を抱えていますが、ジジのようにならないか、よくよく考える必要がありますね。

最後に

いかがでしたでしょうか。
エンデ作のモモは時間との向き合い方を非常に考えさせられる一冊で、児童文学でありながらも現代の社会を痛烈に風刺した大人こそが改めて読むべきだと感じた内容でした。
モモを読了した後、今までなんでこんなに忙しく生きていたのかと考えさせられました。何を焦っていたのでしょうか。春の訪れや、鳥や虫の声にも耳を傾けて、生きていることをもっと感じていきたいです。

豊かになったのに幸せを感じられない人、日々、忙しさに追われている人はぜひモモを読んでみてください。

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