やわらかテック

興味のあること。業務を通して得られた発見。個人的に試してみたことをアウトプットしています🍵

部活動という構造が権限委譲の素晴らしいモデルなのではないか

最近は社内の輪読会で「エンジニア組織論への招待」を読んでいます。
著者の広木さんが書かれた素晴らしい内容に影響されて、組織構造について考える時間がとても増えました。

僕の悩みの大変を占めているのは「権限委譲」の問題についてです。
中心となって動いてきたメンバーから新しく入ったメンバーや新人たちに、業務やポジションを委譲していくのは勇気のいることですし、委譲した結果、上手くいくのかはやってみないと本当に分かりません。後に適性がないこと分かった...なんてのはよくある話です。

しかし「ポジションが人を育てる」という言葉をよく耳にするように、任せなければ彼らが次のステップへ成長することは難しいという現実があります。「このジレンマとどうやって付き合っていくべきかな...」と考えていた所、高校生の時に所属していた吹奏楽部での出来事を思い出しました。
そして部活動という構造から権限委譲について学べることがあるなと思ったので、自分の考えをまとめてみました。

部活動における人の入れ替わり

自分の吹奏楽部での経験を元に話を進めていきますが、何部を想像していただいても問題ありません。
部活という構造では以下の図のように人が入れ替わっていきます。学校によっては、引退のタイミングなどが異なるかもしれません。

話は少し逸れますが、今になって思えば2年半という短い時間の中で、これだけ人の動きがあるのは部活動ぐらいだけなのかもしれません。本当に貴重な体験をしました。

権限の委譲

部活動では1年生から3年生の夏に引退する過程の中で、誰もが権限・立場が変化していくことを経験します。
以下の図のように新入生は入部してからの夏までは一切の権限を持ちませんが、夏の3年生の引退から少しずつ権限を持っていくことになります。さらに2年生・3年生となるにつれて権限は大きくなっていきます。これはまさに組織において、権限委譲がされていく状態そのものです。

※縦社会だからとかそういうことではなく単純に「権限委譲」という視点でご理解ください。

また、立場についても同様です。
一番下の1年生から始まり、中間の2年生へ。3年生が引退した後は中心メンバーが抜けた組織を支えていく必要があります。後に3年生になった時は一番上の中心メンバーへなっていくことになります。

権限と共に立場も上がっていく。これは組織においての権限委譲の理想的なモデルなのではないでしょうか。
とはいえ「こんな大胆な権限委譲をしてしまったら組織は破綻してしまうんじゃ...」と心配に思います。その後、組織は上手く回っていくのでしょうか。

なんだかんだ上手くいく

些細な争いや人同士の衝突やトラブルなど...は当然、ありました。
しかし、自分が所属していた吹奏楽部ではなんだかんだで上手く回っていました。

では、これが仕事だとどうでしょうか。急にコアメンバー達が抜けてしまった後、あなたの組織は上手く回っていくでしょうか。なぜ部活動ではこの権限委譲が成立するのか考えてみたところ、以下2つの要因を思いつきました。

  • 人の入れ替わりが確定イベントであること
  • 入れ替わり後に完全リセットされるわけではなく多くの文化は引き継がれる

人の入れ替わりは確定イベントで避けることはできません。1年生は先輩達の引退を必ず目にすることになりますし、3年生の夏になれば、自分たちが引退することになります。従って部活動では人は入れ替わるものという認識が無意識に作られていきます。

また人の入れ替わりは確定で発生するものの、その都度、全てがリセットされる訳ではなく文化や役割、練習方法などは次の世代へ引き継がれていきます。先輩達の姿を見てきているので、いざ自分たちの番になっても何をしたら良いのかが分かるのです。

なぜ権限委譲できないのか

部活動の例から逆説的に考えると人の入れ替わりがあまり発生しないからでしょう。
中心メンバーによって形作られた構造やフローが、多少の人の入れ替わりはあれど同じメンバーを中心に回っていくので大きく変化することは余程のことがなければ考えられません。

上手くいっている状態から下手に変化を起こすよりも、何も変化させないのが最も安全かつ合理的な判断です。
当然、そんな状態では権限委譲が発生するわけがありません。権限委譲が発生しないことには人の育成も難しく、OJTでカバーできる範囲にも限界があるため次世代を担うような人が生まれてこないのも納得です。

書籍「リーダーの作法」でも仕事はどんどん任せていこうという内容が紹介されていました。 www.okb-shelf.work

このように人の入れ替わりがない組織では、権限委譲できない悪循環が継続されていく可能性があります。

最後に

いかがでしたでしょうか。
学生達が約3年間という短い時間で権限委譲をしているのに我々、大人は何をしているのでしょうか(暴論)。
部活動とは違い、企業という組織では完全な人の入れ替わりは難しいので、思い切って権限委譲をしていきましょう。人にどんどん任せていきましょう。任せれば何とかなりますし、上手くいかなかったという成果を得ることができます。

そのために先輩として何をするべきか、何をしているのか手本を見せていく必要があります。
当ブログで何度も紹介していますが、山本五十六の名言を貼っておきます。

やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ

www.okb-shelf.work

この記事を執筆できたのは、当時、吹奏楽部でご指導頂いた先生方・先輩方、仲間達のご指導のおかげです。
貴重な体験をさせて頂いたこと感謝しきれません。本当にありがとうございました。

少しでも「ええな〜」と思ったらイイネ!・シェア!・はてなブックマークを頂けると励みになります。