いつものように書店を徘徊していると、良さげな本を発見。
同じシリーズの書籍である「SCRUM BOOT CAMP THE BOOK」を過去に読んだことがあったので「この表紙は!」と思い気づいたら購入していました。はい、いつもの衝動買いです。自分は書店で紙媒体のものを購入したのですが、なんと今、電子書籍版がセールで2023/05/12まで半額で購入可能なようです。
内容は一言で言えば、アジャイルを目指すチームは一度は目を通した方が良いと感じるものでした。
衝動買いの言い訳
スクラムでは振り返りを定期イベントとして定義しており「レトロスペクティブ(≒振り返り)」と呼びます。
アジャイルとスクラムはよく混同されがちですが、異なるものです。アジャイルとは一言でいえば自己組織化した状態(be agile)を指しており、スクラムというのは開発手法の1つでしかありません。
なので「スクラムを取り入れているからアジャイルなのだ」というわけではありません。広木さんの「エンジニアリング組織論への招待」ではアジャイルについて詳細に語られていますので、こちらもぜひ読んでみてください。
そんな振り返りですが、自分が所属するチームでは過去に実施していたものの、気づいたらマンネリ化して振り返りが実施されなくなってしまいました😭
振り返りって意外と難しい
自己組織化を目指していくには振り返りが非常に重要です。
しかし、エンジニアが振り返りの心構えや取り組み方について誰かに教わる機会はあまりないでしょう。自分はラッキーなことに過去に外部メンターの方に教えて頂いたことがあるのですが、自分の中で「こういうものだ」という理解はあるのですが、人に言語化して上手く伝えることはできない状態でした。
そんな中、チームの定期イベントとして振り返りを復活させるために色々と動いています。
しかし、上に書いた通り振り返りについて詳しいわけではありませんし、メンバーに「振り返りとは...」と伝える知識はありませんでした。
それでも...
- もっとチームをカイゼン(書籍に倣ってカイゼンと表記)したい
- アジャイルな状態を目指したい
- 振り返りを良い時間にしたい
- メンバーに積極的に参加してほしい
という思いがあるので、振り返りについて改めて知識を取り入れないとなぁと感じていたわけです。
書評
特に印象に残った内容を抜粋しています。
上にも書いたようにアジャイルを目指すチーム、すなわち振り返りに参加するメンバーは一度はこの本を読んでおくべきだと感じました。「振り返りをやっているがどうも上手くいかない」と悩む方のヒントになるトピックが多く記載されていました。
カイゼンのアクションを出すことへの心構え
これが一番、グサッ!...っと刺さった内容でした。
振り返りにおいて、特に難しいのは問題に対してのアクションを出すことだと思います。
問題が根深かったり、権限がなかったり...とアクションが誰からも出てこないということは、振り返りをやったことがある人は誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。そんな時にファシリテーターを担当していると地獄のような沈黙が続き「つらい...」と感じるものです。何かアクションが出ていないとダメだ、議論していないとダメだというダメダメプレッシャーが自分の中ではありました。
しかし、本書には「アクションは出せなくたっていいんだよ」という旨の内容があり驚きました。
第一にメンバー同士で問題を出し合い、共通認識とすることが大事だということ。良いアクションは出すことが難しいものであり、銀の弾丸たるアクションは簡単には出てこないという認識を持つことが重要だそうです。
何よりも問題がチームへ共有されたことを喜ぶべきだという姿勢を大切にしようと思いました。
様々な手法の紹介
自分のチームでは振り返りといえばKPTでした。
KPT自体は素晴らしい振り返りのフレームワークなのですが、ずっと同じことをやっているとマンネリ化は避けられません。美味しいステーキも毎日、食べていた飽きてしまいます。
書籍の後半では振り返りの様々な手法・手法同士の組み合わせ方が紹介されており、振り返りはKPTだけではないということに気づきました。特に良さそうだなと思ったのはチームを気球として捉えて、より上昇するにはどうしたら良いかを考える「熱気球」という手法。問題を階層的に深ぼっていく「5つのなぜ」といった手法です。
詳細は割愛しますが、色んな手法があるということを知っておくだけでも重要だと思うので、非常に参考になりました。
振り返りの振り返り
振り返りのようなチームマネジメント系のイベントは、スクラムマスターなどのマネジメントを担当する一部のメンバーによって形式化されていくという現象がよく発生しがちです。
しかし、振り返りは一人で作っていくものではありません。
ファシリテーターが主導者になるのではなく参加者全員で作り上げていくものという意識が重要だそうです。そのために毎回、振り返りの振り返りを行い、振り返り自体も「ここは良かった」「やりにくかった」...とカイゼンしていく必要があるという考えには「確かになぁ」と思わされました。
一人で動いていたことを振り返る
振り返りの復活を行うために、自分一人である程度まで原案を作り上げてしまいました。
それも今になって思うと反省ポイントなのですが、その後、メンバーに一人ずつ意見を聞いて回って「みんなで作り上げていくもの」という意識を持ってもらえたのは良かったと思います。
書籍はDPT(Design The Partnership Alliance)という振り返りのルールを全員で作るフレームワークが紹介されていました。これをもっと早く知りたかった。
最後に
オススメできる人
- アジャイルな状態を目指している人
- 振り返りに取り組んでいる人
- これから振り返りを始めていく人
- 振り返りをやっているが、どうも上手くいかないと感じている人
- チームの状態が良くないと思いつつ、何をしたら良いか分からない人
オススメできない人
いません!
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