やわらかテック

興味のあること。業務を通して得られた発見。個人的に試してみたことをアウトプットしています🍵

【goroutineによる並行処理】サンプルを作りながら学ぶgoroutine入門

golangを学ぶ上での壁goroutine

golangを業務で使い始めてから約半年になりました。業務ではgolangを使ってWebsocketを使ったチャットサーバーを作っています。golangの文法は非常にシンプルで分かりやすくシンプルなので、可読性が非常に良いです。普通にgolangを逐次処理として記述する中では大した問題は発生しないかと思いますが、golangの何が難しいのかというとgoroutineと呼ばれるgolangに実装されている並行処理をするための軽量なスレッドの扱いです。

go-tour-jp.appspot.com
(concurrencyって公式が言っているので並行処理なんでしょう)

goroutineの文法自体は非常にシンプルで実行したい関数の前にgoと記述するのみです。

package main
import (
  "fmt"
  "time"
)  
  
func main(){
    // Your code here!
    go print("hello")
    go print("world")
    
    // 先にメインスレッドが終了してしまうため出力されるまで待機
    time.Sleep(1 * time.Second)
    
}

func print(v interface{}) {
  fmt.Println(v)
}

実行結果

hello
world

play.golang.org

書いたきっかけ

goroutineの習得は元々、並行処理に関する知識があったものの手こずりました。 業務でチャットサーバーを書いており、その大半以上がgoroutineを使ってマルチスレッドでの並行処理になります。なので嫌でもgoroutineを書かなければなりませんでした。おかげさまでgoroutineを使ったgolangでの並行処理はある程度思うように記述出来るようになりました。

ふと「他の人はどうやって学習してんだろ...」と思い「goroutine 入門」と検索してみました。サンプルコードをいくつか見てみましたが、goroutineを使ってfmt.Println("hello")を出すようなものが多い印象を受けました。「うーん、これって面白いのかな」という思いとそのコードから実務に繋がるイメージが湧かなかったので「なんか面白いサンプル作りながら学べる記事があったら最高やな」と思い立って自分で書いてみようという気持ちになりました。

参考としている考え方

並行処理を記述する上でElixirというプログラミング言語で学んだアクターモデルメッセージパッシングといった分散メモリにおけるマルチプロセスの同期方法は非常に参考になりました。今回は詳しくは話しませんが、自分の記述するgoroutineのコードは非常にElixirの影響を受けていると思います。のちに登場します、channelというデータ型はElixirでのメッセージッパッシングのような操作を行うことが出来ます。

そうすることで排他制御や同期処理が非常に楽になり、golangに実装されているsyscパッケージを使うこともほとんどなくなるでしょう。実際に公式のgolangチュートリアル「A Tour of Go」でも言及されています。

sync パッケージは同期する際に役に立つ方法を提供していますが、別の方法があるためそれほど必要ありません。 (次のスライドで説明します)

今回作るもの

何かしらのイベントを駆動して動く処理にしたいなーと思い考えた結果、シンプルで分かりやすいタイマー処理に落ち着きました。今回作るものはusedTimerと勝手に名付けたものです。

usedTimerには以下のような仕様があります。

  • 特定の周期A毎にメインスレッドに対して「Golangはいいぞ」というメッセージを飛ばす
  • 特定の周期B毎に時計が壊れる(処理が停止)ため、再起動する必要がある
  • 電気代もかかるため、再起動の上限はN回まで

全体のコードを用意してありますので「どゆこと」という方はまず動かして試してみてください。golangがinstallされているかdockerがinstallされていればすぐに動かすことが出来ます。

github.com

仕様からコードへの置き換え

今は「なんとなーく」で問題ないので、こんな感じで作っていくというイメージを展開しておきます。

まず特定の周期A毎にメインスレッドに対してという仕様に対応するためには、メインスレッドと別にgoroutineを使ってスレッドを用意してあげる必要がありそうです。
さらに立ち上げた別のスレッドから「Golangはいいぞ」というメッセージを飛ばすとあるため周期A毎にメッセージを飛ばす必要があります。スレッド間でメッセージを飛ばすためにはchannelというデータ型を使います。立ち上げたスレッド -> メインスレッドにメッセージを飛ばす処理も記述する必要があるでしょう。

この立ち上げたスレッドは周期B毎に停止をするという処理は記述自体は出来そうですが、故障したことをメインスレッドに伝える必要があります。それは再起動の処理をしてもらうためです。先ほどと同じようにchannelを使ったメッセージを飛ばしてあげれば上手く出来そうな気がします。

補足: スレッド間でメッセージを飛ばすってどういうこと?何のため?

一言で言ってしまえば、スレッド同士でイベントを管理するため、主に同期をとる必要があるためです。AのスレッドからはBのスレッドで何が起きているのか分かりません。共通のグローバルな変数に何が起きているのかを都度、更新しても良いのですが排他制御(順番に書き込める、誰かが書き込んでいる最中は書き込めないようにする...etc)を作る必要があり、非常に面倒です。

そのため、スレッド同士でメッセージを通知することで「あ、Aのスレッドのこの処理が終わったんだ」「あ、Aでこのイベントが始まった」ということを認知することが出来るのです。

作成開始

では早速、作っていきましょう。まずは以下のようにディレクトリとファイルを作成してください。$GOPATH配下に配置するようにお願いします。

main
└ main.go
timer
├ model.go
└ timer.go

メッセージの定義

最初に行うのはスレッド間で送信しあうメッセージの設計です。/timer/model.goに対してメッセージの定義を行います。今回は先ほど記述したようにメッセージを使って2つの通知をする必要があります。

  • Golangはいいぞ」というメッセージを飛ばす
  • 故障したことをメインスレッドに伝える必要

この2つに対応できて、後に上司から「やっぱこんときもメインスレッドにメッセージ飛ばしてくれる?」と追い討ちをかけられても問題ないようにメッセージの定義を行います。メッセージの定義には構造体を用います。

/timer/timer.go

package timer

// スレッド間で用いるchannel用のstruct定義
type Protocol struct {
    // 失敗時のmessageなのかを判定するために用意
    Type    string
    Message string
    Error   error
}

これは業務でチャットサーバーを作り続ける中で洗礼された最終形に近い形のものです。Typeというフィールドに何のメッセージなのかを与えます(eg: 通常のメッセージ, 故障時のメッセージ etc...)。このTypeのフィールドを参照してもらうことで何のメッセージが飛んできたのかを判別することが出来ます。Typestring型なのでメッセージの種類はいくらでも増やすことが出来ます。

Typeに対応するデータをMessageErrorに与えます。通常のメッセージであれば以下のようになります。

msg := &Protocol{
      Type: "MESSAGE",
      Message: "Golangはいいぞ",
    }

しかし、残念なことにせっかく定義した構造体もこのままではスレッド間で飛ばすメッセージとしては使用することが出来ません。先ほど紹介したようにこの構造体をchannel型というデータにしてあげる必要があります。usedTimerを使ってくれる人に「うわーchannel型ってどうやって作るねん」と意識してもらいたくないので、関数で作成出来るようにしておきましょう。

/timer/timer.go

// 構造体を元にチャネルを作成
func CreateProtocolChannel() chan *Protocol {
    return make(chan *Protocol)
}

make(chan *対象の構造体)とすることで構造体をベースとしてchannel型を作成することが出来ます。

timerの作成

スレッド間で飛ばすメッセージの定義が完了したので、ついにメインとなるusedTimerを作成していきます。といっても、やることは単純です。まずは特定周期A毎に「Golangはいいぞ」というメッセージを飛ばす処理までを作成しましょう。
goroutineで立ち上げることを想定しているので関数にします。また、このusedTimer内は3つの引数を受け取ることにします。

  • iterTimeInt -> メインスレッドにメッセージを送る周期Aの秒数
  • breakTimeInt -> usedTimerが故障を起こす周期Bの秒数
  • ptc(protocol) -> メッセージをメインスレッドに送信するためのchannel型

もちろんこれが正解ではないので、他の方法で周期を指定して頂いても構いません。例えば、共通のスコープを持つ変数を用意する方法がありますが、個人的にはあまり好きではないので避けるようにしています。

まずは関数UsedTimerの全体を見てみてください。順に詳細を追っていきます。

// 仕様について
// 1. 指定した周期毎に" "というメッセージをchannel経由で送信する
// 2. 指定した周期毎に時間切れとなり、errorを返して実行loopをbreakする
func UsedTimer(iterTimeInt, breakTimeInt int, ptc chan *Protocol) {
    // int型をtime.Duration型へ変換(second)
    iterTime := time.Duration(iterTimeInt) * time.Second
    breakTime := time.Duration(breakTimeInt) * time.Second

    // 周期毎にイベントを発生させるtickerを作成
    iterTicker := time.NewTicker(iterTime)
    breakTicker := time.NewTicker(breakTime)
    defer func() {
        iterTicker.Stop()
        breakTicker.Stop()
    }()

    for {
        select {
        // メッセージを送信する処理
        case <-iterTicker.C:
            ptc <- &Protocol{
                Type:    "MESSAGE",
                Message: "Golangはいいぞ",
            }
        case <-breakTicker.C:
            ptc <- &Protocol{
                Type:  "ERROR",
                Error: errors.New("[Error] Timer was broken"),
            }
            // breakだとスレッドがkillできないので注意
            return
        }
    }
}

まずは引数で受け取った周期A,Bの値をint型からtime.Duration型に変換します。変換した値を用いて、timeモジュールに用意されているTickerを作成します。Tickerは指定した周期毎に作成したスレッドに対してchannel型を通じてメッセージを飛ばしてくれます。
最後にdefer構文を使用して、スレッドが停止する際(goroutineで実行する関数がreturnする時)にTickerを停止させるようにしておきます。

// int型をtime.Duration型へ変換(second)
iterTime := time.Duration(iterTimeInt) * time.Second
breakTime := time.Duration(breakTimeInt) * time.Second

// 周期毎にイベントを発生させるtickerを作成
iterTicker := time.NewTicker(iterTime)
breakTicker := time.NewTicker(breakTime)
defer func() {
    iterTicker.Stop()
    breakTicker.Stop()
}()

準備は出来ました。次にTickerから周期A,B毎にメッセージを受け取るための処理を記述しましょう。メッセージを受信し続ける必要があるため、多言語で言う所のwhile loopfor構文を用いて作成します。条件を与えなければ意図的に無限ループを作り出すことが出来ます。仮にfor構文がないとどうなるでしょうか。一度、メッセージを受信した後に関数がnilを返すか分かりませんが実行を終了します。その結果、次にメッセージを受信することは出来ません。

for {
        select {
        // メッセージを送信する処理
        case <-iterTicker.C:
            ptc <- &Protocol{
                Type:    "MESSAGE",
                Message: "Golangはいいぞ",
            }
        case <-breakTicker.C:
            ptc <- &Protocol{
                Type:  "ERROR",
                Error: errors.New("[Error] Timer was broken"),
            }
            // breakだとスレッドがkillできないので注意
            return
        }
    }

次に見慣れない構文selectについてです。これはswitch構文のgoroutine版だと思えば良いです。case <- channel型とすることで特定のchannel型を持つメッセージを受信することが出来ます。今回は先ほど作成した2つのTickerを受信するようにしています。
iterTicker.Cでは周期A毎にメインスレッドにメッセージを送るため、breakTicker.Cは周期B毎に故障したことをメッセージとして送るために用意しています。もしやりたことが増えて、第3のTickerを追加した時にはselectにも同じように追加するだけで簡単に拡張することが出来ます。

select {
        // メッセージを送信する処理
        case <-iterTicker.C:
            ptc <- &Protocol{
                Type:    "MESSAGE",
                Message: "Golangはいいぞ",
            }
            :
        case <- newTiceker.C:
            :
            :
        }

次にメインスレッドにメッセージを送る部分についてです。この項目が終了した時点でgoroutineを快適に扱うために必要なchannel型, メッセージの受信, メッセージの受信に触れたことになります。少し練習をすれば、すぐにgoroutineを使った並行処理が書けるようになるでしょう。
メッセージの送信はselectの内部でメッセージを受信した時と書き方が似ています。対象のchannel型に対してch <- データ構造とすることでchannel型を通じてメッセージを送ることが出来ます。今回、メッセージとして定義しているのはProtocolという構造体なので、該当するデータを作成してメッセージを送信します。

// 周期A毎に送るメッセージ
ptc <- &Protocol{
    Type:    "MESSAGE",
    Message: "Golangはいいぞ",
}

// 周期B毎に送るエラーメッセージ
ptc <- &Protocol{
    Type:    "ERROR",
    Message: errors.New("[Error] Timer was broken"),
}

これでgoroutineで実行する関数側の処理は記述が完了しました。あとはgoroutineを管理するためのスケジューラーを記述してあげるだけです。

Schedulerの作成

まずは全体のコードをご覧ください。無名関数を使っている部分はありますが、すでに最もややこしいchannel型でのメッセージ受信部分については触れているので最低限、何をやっているのかは分かるのではないかと思います。

// timerの動作管理を行うスケジューラー。再起動まで行う
func Scheduler(iterTimeInt, breakTimeInt, revivalNum int) {
    // 通信用のチャネルを作成
    ch := CreateProtocolChannel()
    // 何度も再起動させたいので簡略化のため無名関数を採用
    receiver := func() error {
        // 作成したUsedTimerからのメッセージを受け取るloopを作成
        for {
            select {
            case msg := <-ch:
                switch msg.Type {
                case "MESSAGE":
                    log.Print(msg.Message)
                case "ERROR":
                    log.Print(msg.Error.Error())
                    return msg.Error
                }
            }
        }
    }

    // 監視のための処理を記述
    counter := 0
    for {
        // goroutineを用いてスレッドを作成
        go UsedTimer(iterTimeInt, breakTimeInt, ch)
        if err := receiver(); err != nil {
            log.Print("[Main] Restart timer thread. Please wait 3 seconds ...")
            time.Sleep(3 * time.Second)
            counter += 1
        }

        if counter >= revivalNum {
            log.Println("[Main] Reached revival limit. so stop worker ...")
            return
        }
    }
}

最初に立ち上げた別スレッドからメッセージを受け取るためのchannel型のデータを作成します。channel型の作成は先ほどすでに関数化したので、呼び出した値を変数に保持するのみです。

// 通信用のチャネルを作成
ch := CreateProtocolChannel()

今回は、スレッドを特定関数まで再起動するという仕様があるでの繰り返し使うことを想定してchannel型を通じてメッセージを受信する部分を無名関数で使いやすくしてみました。受信の処理は先ほどとほとんど同じですが、1点だけ異なるところがあります。channel型を通じて得たメッセージの値を参照したい時はselectのブロックの中でcase 変数名 := <-channel型:とします。
この場合はUsedTimerから送られてくるProtocol構造体の値がmsgに保持されます。送られきたメッセージに保持されているTypeのfiledを見ることで何のメッセージなのかを判定します。

for {
    select {
        case msg := <-ch:
            switch msg.Type {
        case "MESSAGE":
            log.Print(msg.Message)
        case "ERROR":
            log.Print(msg.Error.Error())
            return msg.Error
        }
    }
}

MESSAGEという周期A毎に送られてくるメッセージを受信した場合には送られてきたメッセージのMessagefieldの値を表示します。ERRORというusedTimerが故障した際に送信されるメッセージを受信した時には無名関数内からreturn errとしてエラーを返して受信ループを停止させます。

この作成したメッセージ受信の無名関数とgoroutineを使って別スレッドの立ち上げとメッセージの受信を行います。

// 監視のための処理を記述
counter := 0
for {
    // goroutineを用いてスレッドを作成
    go UsedTimer(iterTimeInt, breakTimeInt, ch)
    if err := receiver(); err != nil {
        log.Print("[Main] Restart timer thread. Please wait 3 seconds ...")
        time.Sleep(3 * time.Second)
        counter += 1
    }
    if counter >= revivalNum {
        log.Println("[Main] Reached revival limit. so stop worker ...")
        return
    }
}

再起動にはforの無限ループを使いますが、今回は再起動回数に上限があるので、再起動を行なった回数を記録するためのインクリメント変数counterを用意して、再起動するたびに+1します。この値が引数で受け取った上限値を超えた時に処理を終了させます。

再起動は別スレッドからエラーメッセージを受け取った際に行いますが、都度都度、即再起動していては思わぬ負荷をかけてしまう可能性が考えられるため、必ず3秒待機してから再起動するようにもしてみました(eg: usedTimerの壊れる周期が不定期で0.1sごとに壊れるごとが重なるような場合など)。

// 特に問題がなければメッセージの受信ループが発生
if err := receiver(); err != nil {
    log.Print("[Main] Restart timer thread. Please wait 3 seconds ...")
    time.Sleep(3 * time.Second)
    counter += 1
}

これでtimerパッケージの記述が終了しました。最後にmain.goから処理を呼び出します。

/main/main.go

package main

import (
    "log"
    "used_timer/timer"
)

func main() {
    log.Print("[Main] Start timer ...")
    // 2秒毎にlogを出し、起動から10秒経過した時にbreak
    timer.Scheduler(2, 10, 5)
}

動作確認

さっそく動作を確認してみましょう。golangがinstall済みで今回作成したプロジェクトが$GOPATH配下にあるとして以下のコマンドを実行します。

$ cd used_timer $ go run main/main.go

上手く作れていれば、2秒毎に「Golangはいいぞ」というlogが表示されて、10秒毎にusedTimerが故障して「[Error] Timer was broken」というlogが出力されます。一度、スレッドはkillされてしまいますが、3秒後に再び新たなスレッドが作成されて同じようにlogが表示されるようになるでしょう。
この一連の処理が5回まで行われれば成功です。

実行結果

2020/04/07 00:36:48 [Main] Start timer ...
2020/04/07 00:36:50 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:36:52 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:36:54 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:36:56 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:36:58 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:36:58 [Error] Timer was broken
2020/04/07 00:36:58 [Main] Restart timer thread. Please wait 3 seconds ...
2020/04/07 00:37:03 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:05 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:07 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:09 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:11 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:11 [Error] Timer was broken
2020/04/07 00:37:11 [Main] Restart timer thread. Please wait 3 seconds ...
2020/04/07 00:37:16 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:18 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:20 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:22 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:24 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:24 [Error] Timer was broken
2020/04/07 00:37:24 [Main] Restart timer thread. Please wait 3 seconds ...
2020/04/07 00:37:29 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:31 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:33 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:35 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:37 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:37 [Error] Timer was broken
2020/04/07 00:37:37 [Main] Restart timer thread. Please wait 3 seconds ...
2020/04/07 00:37:42 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:44 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:46 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:48 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:50 Golangはいいぞ
2020/04/07 00:37:50 [Error] Timer was broken
2020/04/07 00:37:50 [Main] Restart timer thread. Please wait 3 seconds ...
2020/04/07 00:37:53 [Main] Reached revival limit. so stop worker ...

上手くいっているようです!!

まとめ

  • goroutineを使用したスレッドの立ち上げ
  • channel型のデータを使ったスレッド同士のメッセージ送受信
  • channel型に構造体を使用したイベントを切り分け
  • スレッドの再起動と簡単なサンプル

と簡単なサンプルに実務で役に立つであろうgoroutineに関する知識を詰め込みました。このサンプルを通して少しでもgoroutineへの理解が深まったのであれば何よりです。では、良い並行処理ライフを。

おまけ1: 関数がnilを返しているのかどうか

返していないっぽいですね。 play.golang.org

おまけ2: 並行処理の学習方法について

筆者は1年前までは並行処理の「へ」の字も知りませんでした。並行処理の知識が深まったのはElixirというプログラミング言語のおかげです。今回のサンプルコードの設計のベースになっている考え方の多くはElixirから輸入したものです。

「え、どんな言語やねん」と興味を持っていただけたのなら以下の記事をぜひ読んでみてください。きっと楽しんで頂けると思います。

www.okb-shelf.work

参考文献

【現役エンジニア】SCRATCH(スクラッチ)で遊んで何が出来るのかを体験してみた

ビジュアルプログラミングSCRATCH

SCRATCH(スクラッチ)に関しての説明はもう不要だと思いますので省きます。小学生などの低年齢層を対象にプログラミングをブラウザとGUIを使って学習することが出来るMIT開発のビジュアルプログラミングのプラットホームですが、どれぐらいのものが作れるのかが気になったので少しだけ遊んでみました。

また、普段は業務でプログラミング言語を使ってコードを記述しています。ビジュアルプログラミング言語からプログラミング言語の学習に進む際にどんなことが壁になるのかを体験してみました。

いざSCRATCHにアクセス

scratch.mit.edu

とりあえずアクセスしました。どうやらログインなしで早速プロジェクトを作成することが出来るようです。ログインをすると作品の保存と共有機能が使えるようになりました。

作りたいものがまだ決まっていないですが、プロジェクトを作って編集画面?にアクセスしてみました。

f:id:takamizawa46:20200329121748p:plain

まだ何も作成されていない状態ですが、何をやっていけばいいのかは何となく分かりました。左側にあるブロックと呼ばれる部品をつなげていって、処理を作成していけばいいようです。このブロックが非常にバリエーション豊かで色々なことが出来るようです。
音の出力から画像の回転や移動といった子供に喜ばれそうなブロックもあれば、変数の定義や分岐処理、繰り返し処理、はたまた配列操作に関するブロックまでありました。
「ほとんどプログラミング言語を記述するのと分からないんじゃないの?」と非常に驚かされました。

f:id:takamizawa46:20200329122249p:plain:h450

作るものを決めた

思っていたよりもプログラミング言語によせたブロッグが実装されていたので、結構やれそうだなと感じたので以前Twitterで見かけたSCRATCHの問題に取り組んでみることにしました。

その問題がこちら。SCRATCH再帰処理を用いて二分探索(binary search)を行うというもの。これをSCRATCHで作成してねという中々に鬼畜な問題...😅

まぁ、これだけプログラミング言語に寄せたブロックがあるんだから作れそうだなぁと思って挑戦することにしました。二分探索(binary search)については過去の記事で解説していますので、何なのか全く分からないという方はご参照下さい。

www.okb-shelf.work

試行錯誤を繰り返し...

気軽に実装を始めてみましたが、これが思うようにいかない...
f:id:takamizawa46:20200329122914p:plain

関数の定義が出来るブロックがあり、そこで再帰させてあげればいいのかなと思ったものの、SCRATCHで配列を分割する方法が思いつかずに一回、リセット(スコップを持った人に怒られそう)。

次は、元の配列から探したい数値以上の要素だけを抽出するfilter関数のような処理が出来る関数ブロックを作ってから二分探索をしようと思い、配列の分割(split_lst)を作ろうとします。

f:id:takamizawa46:20200329123213p:plain

元の配列に対して抽出処理をしてしまうと、元データが消えてしまうので、もう1つ配列を用意して、そちらに条件を満たした要素をコピーする方針としました。が、変数管理で大苦戦。なかなか思ったように出来ず、気づけば無限ループを引き起こしてしまっていた。

ああああ...
f:id:takamizawa46:20200329123402p:plain

何とか分割処理までは作れたものの、変数管理と全体の見通しがつかず、頭がワチャワチャしてきて、気づいたら散漫なブロックが出来上がってしまっていた。

f:id:takamizawa46:20200329123500p:plain

コメント機能は便利だと思いますが、どうせならコメントブロックを用意してほしかったなぁと感じました。普段コードを書いている身としては違和感がありました。

それから2時間ほど悩みましたが、最終的なブロックはこんな感じになりました。先に結果をいうと、作れませんでした。すみません。何ていうか飽きてしまいました笑

f:id:takamizawa46:20200329123715p:plain

何が辛かったか

プログラミング言語に寄せたブロックが多く用意されている一方で、普段記述しているプログラミング言語とは大きく異なる仕様に混乱させられました。順に紹介していきます。

配列のindexが0始まりではなく1で始まる

filterする処理を作っていた時に、何回やっても思った値が抽出出来ないなぁと思って調べたところ、配列の先頭要素のIndex番号は0ではなく1になるとのこと。この仕様には素直にやられたーと思いました。

なぜ1始まりの仕様にしたのかは分かりませんが、SCRATCHから著名なPythonRubyのようなプログラミング言語へ進む際は気をつけなければハマりそうですね。

自分も全く知らなかったのですが、COBOLFORTRANといった比較的古典的なプログラミング言語では配列の先頭要素にアクセスするためのIndex番号は1になるとのこと。勉強になった。

rubikitch.hatenadiary.org

全ての変数がグローバルスコープ

作成(定義)した全ての変数がどこからでも参照可能で、更新可能という仕様が個人的には合わなかった。この意図は、複雑な変数に対するスコープ管理を意識させないということなのだということは伝わってきます。そうすることで、変数は便利なものという、かなり抽象的ながらもパワフルな道具として利用してもらうことが出来るからです。

COBALのバージョン何かは忘れましたが、全ての変数がグローバルスコープでスパゲッティコード(複雑に絡み合い改修が難しい状態のコード)になってしまうという話を以前、聞いたことがあります。

・・・しかし、僕はCOBOLに出会った。それは衝撃的な出会いだった。全ての変数がグローバル
worar.hatenadiary.org

関数の引数に配列が渡せない

関数型言語再帰処理をしている立場としてはこれはつらい。引数として渡すことができるのはstring型, int型, float型, bool型のみで用意されているデータ構造の中で配列だけが渡せませんでした。

都度、グローバルスコープを利用して配列を参照する必要があり、うーんと思いました。配列の状態管理にすごく気を遣う必要があります。感じた意図としては、そもそも配列をあまり重要視していない、使われる想定をしていないといったところでしょうか。

配列に対してのイテレーションが実行できない

先ほども記述下通りですがSCRATCHでは配列に対して、それほど重要視されていないでしょう。そのためにこのような仕様になっていると感じました。filter処理を記述している時に、この不便さを感じました。

都度、インクリメントするための変数を用意(しかもグローバルスコープだから要注意)してあげて、配列のIndexを指定してアクセスするというオールドな書き方をする必要があり、面倒でした。

値がリセットされない

実行するたびに最終結果が全ての変数に残ったままになります。これがやっかいでした。全てがグローバルスコープなので実行するたびに毎回リセットする処理を作成しておかないと、とんでもない結果を生み出す可能性があります。

特にインクリメント用の変数や配列には要注意。無限ループになりがちです(めっちゃなった)。

総評

SCRATCHは非常によく出来ていました。ビジュアルプログラミングという点を生かして、実行できる処理が目に見えるものが多く子供が楽しんで学ぶことが出来ると好評を受けている理由も分かりました。一番の驚きだったのはやはり、実際にプログラミング言語を記述する際に意識する文法に近いブロックが多く用意されていることです。

まさか関数の定義まで出来るとは驚きました。

その一方で現代のモダンなプログラミング言語とは異なる仕様であったりとビジュアルプログラミングを完璧にしたからプログラミング言語をスラスラと記述出来るとは感じませんでした。
変数の管理や配列の操作をあまり意識させない方がストレスなく、子供に使ってもらえるでしょう。遊び方としては、イベントリスナーをたくさん用意して、それぞれで処理を発火させていくゲームのようなものを作ってもらうのが良いと感じました。

実際にこんなゲームまで作れるんですね。すごい...

このままでは終われない

せっかく挑戦したのに何の爪跡も残せず終わってしまうのは心もとないので、一作品を作ってみました。魔法使いが猫に挨拶をしたら、猫がイキってきたものの、魔法使いがマッチョであったため、萎縮するという謎すぎるストーリを作りました。

今思うとなぜこんなものを作ろうと思ったのが不思議ですが、「SCRATCHすげー!」と思った機能にメッセージの送受信というブロックが用意されていることです。

それぞれのオブジェクトにどんなメッセージを送るか、受け取った時に何をするのかという処理を作成することが出来ます。これは並行処理でメッセージを飛ばし合うメッセージパッシングそのものであり、複数の処理系が同時に走るという概念を学ぶには非常にいい機能ですね。

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参考文献

ビジュアルプログラミングを卒業した後に覚えたいプログラミング言語

プログラミングを学ぶ背景

2020年より小学校ではプログラミングが必修化されて、必然的に小学校を卒業するまでに生徒たちはプログラミングを学ぶことになります。

www.mext.go.jp

小学校でのプログラミングが必修化されている目的として「プログラミング的思考力」を鍛えたいという点があります。「いや、プログラミング的思考力って何やねん」というツッコミはおいておいて、実際に小学校で取り入れている、もしくは小学生が自身で学ぶ場合のプログラミング教育の実例をいくらか見てみました。
事例として多いのは「ビジュアルプログラミングを用いて総合的な時間や既存教科に合わせた取り組み」といったケースです。

miraino-manabi.jp

miraino-manabi.jp

既存のカリキュラムに対してより理解を深めてもらうためにプログラミングを用いて授業を進めているそうです。例として上がっているのは正三角形の描画をビジュアルプログラミングを用いて行うものでした。
良い時代になりましたね。自分が小学生の時は分度器と定規を使って、正三角形を作業的に作図した記憶がほのかに残っています。

また2021年には中学校でも、既存のカリキュラムを見直し「双方向ネットワーク」という要素を重要視したプログラミング教育の授業を行なっていきたいという旨を政府が公開しております。すでに取り組みを始めている中学校も多いようです。

ビジュアルプログラミングを終了した後の流れがない

最近はプログラミング教育に関する資料や書籍、情報によく目を通すようにしているのですが、気になった点があります。すでに課題として多くの有識者が意見を述べていますが、改めて。

それは「ビジュアルプログラミングで学んだ後に実際のプログラミング言語を学ぶための導線がない」という点です。小学校でプログラミングが必修化されたことで多くの生徒がビジュアルプログラミングでの体験をすることになります。しかしながら、中学校に進学して、より難易度が高いであろうプログラミング言語の記述に触れられる機会は少ないようです。

当時の私の記憶では、技術の時間にOfficeを使った簡単なパソコン操作と、タッチタイピングがあった程度でした。またICT支援員と呼ばれるプログラミング教育を支援する人材が不足していることも問題の1つです。

現場教員のインタビュー記事をいくらか拝見しましたが、上記のような問題を解決するために壁となっている要因として多いのは以下の通り。

  • プログラミング言語を用いた教育が行える環境が整っていない -> eg: ブラウザが使えない
  • 指導できる教員がいない -> ICT支援員の不足
  • 何をしていいのか分からない -> 正三角形をプログラミング言語を使って書くのは面白いのか
  • プログラミング言語の文法の理解 -> 変数だの分岐処理だの繰り返し処理だの...

プログラミング言語を記述するということ

ビジュアルプログラミングと実際にプログラミング言語を用いてプログラムを書くという作業は本質的な部分、作業を細分化して列挙していくという部分では共通する部分があるでしょうが、その性質は異なるといっていいでしょう。

先ほども壁となっている要因としてあげたように、プログラミング言語を使いこなすためには言語特有の文法を理解して、変数分岐処理繰り返し処理といった基本的なプログラミング言語の動作に関する知識と文法への理解が必要になってくるでしょう。

また、記述をすすめる中でエラーとなり思ったように動かないことも当然あるでしょう。その時にはなぜ動かないのかをスタックトレースと呼ばれるエラーログから追う必要があります。エラーログを追う作業は現役のエンジニアであっても、初心の頃に1年程の時間をかけて感性を磨いていくものです。ましてやエラーログはほぼ全て英語で記述されており、プログラミング言語特有の概念であったり、単語が頻出する場合もあり、英語に対しての理解があっても解読が難しいこともあります。

では、この作業を小学校でビジュアルプログラミングを学んだ生徒たちが中学校に進学した後に行えないかと言うと、決してそうではないと思います。実際に、小学生や中学生であってもプログラミング言語を使いこなし自分の好きなものを作っている方は多く存在していますし、学生の好奇心にはいつも驚かされます。

しかしながら、決して難易度が低いとは言えません。最初に選択するプログラミング言語が非常に重要になります。
ご存知の方も多いでしょうがプログラミング言語には様々なものがあり、それぞれ難易度も性質も大きく異なります。今回は、ビジュアルプログラミング言語を学び終わり、中学校に進学した時点などでのオススメの初めて学ぶプログラミング言語を紹介したいと思います。

私は大学3回生時にプログラミングを独学で学び、挫折と学習を繰り返し、いくらかの言語を経験してきました。また、中学生の時にC言語と呼ばれるプログラミング言語に挫折したこともあり、何が躓くポイントになり得るかを理解していますので、参考になれば幸いです。

おすすめのプログラミング言語

Pythonについて

今はプログラミング言語と聞いてPythonの名前が上がらないことは考えられないでしょう。10年程前までは日本でPythonは習得すべきプログラミング源として見向きもされていませんでした。しかしながら、近年、人工知能(機械学習)に対して世間の注目が多く集まっており、実際に多くの人工知能のモデルはPythonで記述されています。なぜPythonが使われているかというと、Pythonから使用可能な数値計算のライブラリ(利用可能な便利ツール)が非常に豊富であり、GoogleFacebookなどが実装言語としてPythonを採用しているため非常に大きなコミュニティが形成されています。

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プログラミング言語の選択として大きなコミュニティが存在していることは非常に重要です。コミュニティが大きければ大きいほど、多くのライブラリが開発され、機能が日々アップデートされていきます。また、入門者向けのコンテンツが非常に充実しやすいという点があります。

その点ではPyhtonは初心者が様々なレベルで学び始めるための整備が非常に進んでいます。日本語の情報も多く、思ったように動作せずに困っている時に役立つ情報が見つかりやすいという点もあります。

Pythonの文法について

Pythonはインデントという空白を使用して記述するため、多言語の{を使用して記述する形式と比べて可読性が良いと言われています。実際にサンプルのコードを用意したいのでご覧になってみてください。{を使用するGolangPythonで同じ処理を記述しました。

Golang

package main
import "fmt"
func main(){
    // Your code here!
    
    for n := 0; n < 5; n++ {
      fmt.Println("-->", n+1, "回目の実行を開始します")
      for m := 0; m < 3; m++ {
        fmt.Println("ただいま", n+1, "回目の",  m+1, "番目の実行です")
      }
      fmt.Println("------------")
    }
}

Python

# 5回の処理を繰り返す -> 合計15回
for n in range(0, 5):
  print(f"--> {n+1}回目の実行を開始します")
  # 10回の中で3回ずつ繰り返す
  for m in range(0, 3):
    print(f"ただいま{m+1}回目の{n+1}番目の実行です")
  
  # 見やすくするために出力
  print("-------------")

どちらも以下のような結果を出力します。

--> 1 回目の実行を開始します
ただいま 1 回目の 1 番目の実行です
ただいま 1 回目の 2 番目の実行です
ただいま 1 回目の 3 番目の実行です
------------
--> 2 回目の実行を開始します
ただいま 2 回目の 1 番目の実行です
ただいま 2 回目の 2 番目の実行です
ただいま 2 回目の 3 番目の実行です
:
:
--> 5 回目の実行を開始します
ただいま 5 回目の 1 番目の実行です
ただいま 5 回目の 2 番目の実行です
ただいま 5 回目の 3 番目の実行です
------------

Pythonでは正しいインデントがされていないとエラーになります。そのため、誰か書いても似たような構造になるため、方針が大きく逸れしまうことがなく安心と言えます。

先ほどのコードを不適切なインデントで記述した場合にエラーが出る

# 5回の処理を繰り返す -> 合計15回
for n in range(0, 5):
print(f"--> {n+1}回目の実行を開始します") # <- わざとインデントを削除
  # 10回の中で3回ずつ繰り返す
  for m in range(0, 3):
    print(f"ただいま{m+1}回目の{n+1}番目の実行です")
  
  # 見やすくするために出力
  print("-------------")

エラーログ

  File "Main.py", line 3
    print(f"--> {n+1}回目の実行を開始します")
        ^
IndentationError: expected an indented block

様々なライブラリが公開されている

先ほども記述したようにPythonには大きなコミュニティがあり、様々なライブラリが毎日のように実装公開されています。ゲームを作るためのライブラリから、デスクトップアプリを作るたいめのライブラリ。はたまたドローン制御のライブラリに人工知能(機械学習)を作るためのライブラリと非常に幅広いです。

大げさな言い方ではりますが、Pythonを使えば記述不可能なものは少ないでしょう。また、公開されているライブラリを使うことでシンプルに早くストレスなく記述することが出来ます。

Python 作りたいもの」の組み合わせでGoogleで検索をしてみれば、きっと探しているライブラリが見つかります。

ライブラリの使い方が難しい場合であっても、使い方を解説するようなブログ記事、書籍が広く公開されているのは、やはりPythonのコミュニティの大きさ故でしょう。

Pythonの始め方

では実際にどのようにビジュアルプログラミングを卒業した後にPythonを学び始めていけばいいのかを簡単にご紹介します。前提として、ビジュアルプログラミングに取り組んで以下3つのことが理解出来ているとします。

  • 変数の定義
  • 分岐処理(もし〇〇ならば...)
  • 繰り返し処理(〇〇を何度繰り返す)

プログラムは上記の3つの組み合わせによって大抵の処理を記述することが出来ます。今は覚える必要はありませんが、データ構造やアルゴリズムなど、よりパワフルな知識を身につけることで、より効率的で美しい処理を記述出来るようになりますが、それはまだ先の話です。

まずはPythonで上記3つの記述方法は最低限覚えましょう。Progateを使っても良いですし、個人ブログの記事を使っても良いですし、書籍を購入するのも良い選択肢でしょう。

ProgateであればPythonの2章まで進めれば十分です。
prog-8.com

練習問題

ここまで来たら一度、自分の力でコードを書いてみましょう。すでに様々な処理を記述出来るようになっていることを知り自信を持ちましょう。例題を3問用意したので、好きなものを試してみてください。もちろん、全てに取り組んで頂いても構いません。回答例は「おまけ」に貼っておきます。

Q1

1から100の数字で50より大きな数字であれば「big!」、小さな数字であれば「small!」と出力してください。

ヒント:

  • 出力に使用する構文はprint("hello!")です。
  • 繰り返し処理と分岐処理を上手く組み合わせてみましょう。

Q2

1から10までの数字の合計値を求めて、合計値が10より大きければ、合計値を10倍した数値を出力してください。

ヒント:

  • 合計を求めるためには合計値を求めるための変数を用意します(例: total = 0)
  • 先ほどの変数に値を足していく処理を記述しましょう。(例: total = total + 1)
  • 足し算には+を掛け算には*を使います

Q3: ちょっと難しい

プログラムの有名な入門問題fizzbuzzに挑戦してみましょう。1から100の数字で15で割り切れる時にfizzbuzzと出力し、3で割り切れる時にはfizzと出力し、5で割り切れる時にはbuzzと出力してください。

ヒント:

  • Pythonで割り算の余りを求める時には%を使います(例: 10 % 2)
  • 15は5と3の公倍数であることに注意しましょう

次のステップ

練習問題はどうでしたか。どれも繰り返し処理分岐処理を組み合わせて、基本的な数値データに対して何かしらの処理をするというものです。プログラムの最も基本的な部分を抑えた問題になるように作成したつもりです。

この時点でPythonを最低限、記述するための全ての部品が揃いました。この先の進め方は大きく2種類に分かれます。

1つはこのままPythonの文法の理解を進める学習をすることです。変数の定義繰り返し処理分岐処理と大きく3つのテーマを扱いましたが、まだ触れていない面白いものがたくさんあります。この先に学んでいくものとしては...

  • 関数定義
  • データ構造(配列やタプル、ディクショナリー)
  • クラス定義と継承
  • ライブラリのimport

このようなものがあります。全てを今すぐ理解する必要がありません。ただ、学んでおくことで書籍のサンプルコードなどをスラスラと読み進めることが出来るでしょう。

もう1つは作りたいもののを作るという学習方法です。基本的な部分の学習は完了しているので、すでに挑戦することが出来るでしょう。先ほども記述しましたが、Python 作りたいものの名前」Google検索をすれば、よほどマニアックなことでなければ、何かしらのブログ記事、書籍がヒットするでしょう。

その中でおそらく、関数定義データ構造に対して躓く部分があるかと思います。その度に、知らないことを調べて理解することで、必要な知識だけを頭に入れつつ、作りたいものを作ることが出来るため、モチベーションをキープすることが出来ます。

なので私は圧倒的に後者の学習法「作りたいものを作る」方法をオススメしています。調べてみたけど作り方がよく分からなかったという場合は私のTwitterやココナラ(より深く回答します)などに連絡頂ければば相談可能です。

twitter.com

coconala.com

まとめ

ビジュアルプログラミングを卒業した後に学ぶプログラミング言語として私はPythonをオススメしています。理由は名前が広く知れ渡り、大きなコミュニティがあり、数多くのライブラリが公開されているためです。また可読性も良いです。

Pythonの始め方としては、まず基本的な変数の定義繰り返し処理,、分岐処理の書き方を理解すること。そして、実際に処理を記述してみて、「もうPythonが書けるんだ!」ということを体験してみてください。

そのあとの学習方法は自由です。引き続き文法の学習をするのも良し、作りたいものを作るも良しです。

おまけ1 Pythonのオススメの入門書籍について

自分が読んだことがあるものだけを紹介します。

Pythonの文法を優しく理解するために非常に良い一冊です。

より優しい内容が良いという方はこちらがオススメです。

おまけ2

Q1の回答サンプル

Q1: 1 ~ 100の数字で50より大きな数字であれば「big!」、小さな数字であれば「small!」と出力してください。

解答例

# 1 ~ 100の数値を対象の繰り返し処理をする
for num in range(1, 101):
  # 50より大きいかを判断
  if num > 50:
  
    # 大きい時
    print("big!")
  else:
    # 小さい時
    print("small!")

Q2の回答サンプル

Q2: 1から10までの数字の合計値を求めて、合計値が10より大きければ、合計値を10倍した数値を出力してください。

解答例

# 合計値を保持するための変数
total = 0

# 1 ~ 10までの数値で繰り返し処理
for i in range(1, 11):
  # 合計値を更新
  total = total + i
  # もしくは total += 1
  

# 合計値が10以上かどうかを判断
if total > 10:
  # 10以上なら10倍して出力
  print(total * 10)

Q3の回答サンプル

ちょっと難しい Q3: プログラムの有名な入門問題fizzbuzzに挑戦してみましょう。1から100の数字で15で割り切れる時にfizzbuzzと出力し、3で割り切れる時にはfizzと出力し、5で割り切れる時にはbuzzと出力してください。

解答例

# 1から100まで繰り返し返し
for i in range(1, 101):
  # 15で割り切れる時
  if i % 15 == 0:
    print(i)
    print("fizzbuzz")
  # 3で割り切れる時
  elif i % 3 == 0:
    print(i)
    print("fizz")
  # 5で割り切れる時
  elif i % 5 == 0:
    print(i)
    print("buzz")

参考文献

【現役エンジニアが物申す】未経験のエンジニアが企業でインターンやアルバイトをする際のNGな言葉5選

この記事の対象読者

  • 未経験からエンジニアになりたい
  • 他業界からエンジニアに転職したい
  • フリーランスを目指したい
  • 自由なワーキングスタイルを確立した
  • リモートワーク, テレワークがしたい

など...
近年はインフルエンサーの影響も強くあり、プログラミングスクールや書籍などを購入&活用してプログラミング学習を進めていらっしゃる方が非常に多いです。ある程度プログラムを自由に記述出来るようになった後に目指すのが企業でのインターンやアルバイト、正社員採用ではないでしょうか。

確かに現場でエンジニアとしてのスキルを磨くことは非常に重要で、現場でしか学ぶことが出来ない、もしくは学ぶことが難しいスキルはあります。
「よし!基礎を学び終えたしエンジニアの採用面接に行くか!」

...と張り切り面接を受けたものの思ったような結果がでない。企業からの返事は大体、以下の様なことが多くはありませんか?

  • 判断を見送った
  • 不採用
  • スキルが足りていない
  • 弊社とは合わない
  • 特に理由がないがお断り

「エンジニアが足りてないんじゃねぇのかよ!」と不満が爆発しそうになりますよね。そんなあなたがこの記事の対象読者です。なぜ毎回、エンジニアの採用面接で不本意な結果に終わってしまうのかのヒントになるはずです。

その前に、なぜ私がこのような記事を書いているのかを知って頂くだめに、簡単な自己紹介をしておきます。早く本題を見たいという方は次の章へとお進み下さい。

筆者について

この記事の執筆時(2020/03/26)で23歳になります。新卒としてベンチャー企業に就職しましてWebのDeveloper(エンジニア)として働いています。とはいったものの、大学時代の選考は土木・建築であり、入学時は公務員を目指していたこともあり、情報学部を卒業したわけではりません。
「じゃあ、どうやってエンジニアになったの?」とよく聞かれますが、皆さんと同じように独学です。Progateから始まり、PyQもやりましたし、関連する書籍も数冊は読みました。当時は1日中、プログラミングの勉強をしていた記憶があります。

パソコン自体は子供の頃からよく触っていたのでブラインドタッチは出来ましたし、Officeに関しては資格を持っていましたが、プログラミングやコンピューターサイエンスに関してはほとんど知識・経験がなく、中学2年生の時に「猫でもわかるC言語」で挫折した過去があります(あれは絶対、猫には分からん)。

ある程度、独学にて学習をした後に現職場にてインターンとして採用頂きまして、多くのスキルを学ばさせて頂きました。そして今に至ります。つまりは、未経験の状態から独学で学習をし、インターンを得てエンジニアとして採用されたというロードマップを経験しております。

伝えてはいけないNGな言葉5選

お待たせしました。
それでは、思っていたとして伝えない方がいい言葉を未経験からエンジニアになった私が、エンジニア採用の現場を覗き見している立場から特に多いものを5つ引っ張ってきました。以下に該当する、もしくは近いような事を言っていたとしたら要注意です。

現場でスキルを磨き、いずれはフリーランスになりたい

よく考えて見てください。
企業からすれば未経験の人を雇うのは結構なコストでありリスクになります。現場の経験がない人を雇うよりも、中途で経験のあるエンジニアを雇った方が良いのは明白です。それでも、未経験の人を雇う理由はシンプルで多くの企業が人手不足だからです。
未経験であってもインターンなどで採用して社内でエンジニアとして育てて、案件を任せられるようになれば、企業にとってはエンジニアが供給され、本人は現場でスキルが学ぶことが出来て、WinWinの関係になりますよね。

しかし、どうでしょうか。最初からフリーランスになりたいです」と言われた時に企業がどう思うのか。
「あ、この人を社内でエンジニアとして育てたとしてもスキルが身についたら居なくなっちゃうじゃん」

...と思われてしまいます。ただでさえ未経験の方は育てるコストとリスクがあるのに、スキルが身に付いた途端に居なくなってしまうなんてのは企業にとってはメリットが一つもありません。仮に居なくならない可能性があるとしても、リスクがかなり高いですよね。

そんな旨が履歴書に記述されていたら、面接するまでも無くと不採用と判断されてしまうでしょう。本心では「いずれフリーランスになりたい」と思っていても、その思いを伝えてはいけません。

企業側もボランティアで育成をやってくれるわけではないということを留意しましょう。

〇〇について現場で教えてもらいたい

教えてもらう前提のいわゆる待ちの姿勢は現場では好かれません。案件を進める中で分からない事は当然あるでしょうし、いくらググっても解決しない時、初めて社内のエンジニアに質問したり相談したりするのが現場では当たり前というかマナーです。

「無意味に相手の時間を奪ってはいけない」ということを多くのエンジニアが留意しています。

あれもこれも質問していては他のエンジニアの業務に支障が出てしまいます。何でも質問するのが悪いというよりは、先ほども説明した通り、結果的に無意味に相手の時間を奪ってしまうことになるからです。そんな人と一緒に仕事がしたいと思うでしょうか。

また、「この人は自分で調べたり、学習しない人なんだな」と思われ、将来性がない、いわゆるエンジニアリング能力が低いと判断されてしまうでしょう。

〇〇をやったことはありませんが、〇〇に興味があり業務に携わりたい

この言葉に対して思う事は1つだけで

「興味があるなら何でやらないの?」

...だけです。売り文句としてしょうがなく書いている人もいるでしょうが、自分で調べてその単語までたどり着いていたのであれば、非常に勿体無いないですね。最近だと「人工知能に興味があります」と無意味に記入する人が非常に多いです。

「でも、第一歩の踏み出し方が分からない」という方が多いですが、企業でのインターン、アルバイトは第一歩を踏み出す場所ではなく、第一歩を踏み出した人が、さらに一歩を踏み進めるために活用する場所です。第一歩を踏み出していない人に親切に教えてあげるというのがどれだけの時間とコストを生み出すのかを考えて見て下さい。 繰り返しお伝えしますが、企業はボランティアではありません。

自分の興味を伝えるためにも、ここは最低限パスして来るべきです。ただプロである必要はありません。未経験なので変に気張る必要はありません。どんな形でも自分の興味があるものに対して何かしらのアプローチをして来た事が大切です。
「〇〇に興味があるので自分で作って見ました。こういう部分が難しかったですが、業務ではどうやっているんですか?」という質問が出来る人と「〇〇に興味はありますが、やったことはないです。でも仕事はしたいです」という人のどちらに興味が湧きますか。当然、前者ですよね。

あなたと同じように未経験の方が多く、同じように面接を受けていると考えてください。例えばお互いがスクールの卒業生であれば、同じ技術で同じ課題を、同じポートフォリオを作成しているわけになります。
そんな状況で、差別化が出来る要素がなければ、あなたは有象無象の一人でしかなく、企業に興味を持ってもらうことはきっと出来ないでしょう。

「〇〇(プログラミング言語名)」が書けます

特定のプログラミング言語を書けることを売りにしている人がたまにいますが、ハッキリ言って現場では何かしらのプログラミング言語は書けて当たり前です。日本で日本企業に対して「日本語が書けます!」といって就活をする日本人はまずいないでしょう。

ある特定のプログラミング言語に関しては記述出来ることがスキルになり得ることがありますが、未経験の状態からアサインする場合はそのようなことはまずありません。現場で「繰り返し処理ってどう記述するですか?」なんて聞こうものなら、嫌な顔をされても文句は言えません。

「〇〇が書ける」だけではスキルとしては不十分ですので、先ほど記述したように「△△の分野に興味がある。〇〇を使って実装してみました」というレベルの話まで出来るのがベストです。掛け算できる何かを用意しておきましょう。

未経験からのスタートであればプログラミング言語は複数記述出来るよりも1つの言語に対しての理解を深めた方が良いです。あれもこれもほぼ初心者であると扱える分野が非常に狭くなります。1つの言語で深く学んでおけば、次に新しく覚える言語で同じことを文法を書き換えるだけで記述出来ることに気付くことになるでしょう。

特にやりたい事はないがエンジニアになりたい

こういう人もかなり多いです。なぜか世の中ではエンジニアのヘンテコなイメージばかりが先行してしまっています。1000万円稼げるだの、自由な時間に仕事が出来るだの、学歴は関係ないだの...実際どうなのかは一旦、置いておいて..._。

「早く自分もそのボジションに行きたい」という気持ちは伝わってきますが、目指す理想像がなく企業としては対応に困ります。「ウチじゃなくてもいいんじゃないの?」と思われてしまったら負けです。
今から面接を受けようとしている企業の理念や自社開発製品は理解していますか。その企業が開発に採用している言語やフレームワークが何か理解していますか。最低限、それらを知っておくのはマナーですし、知らないのであれば相手の時間を無駄に奪う結果になり、失礼な人だと判断されてしまうでしょう。

また採用されたは良いものの、特にやりたいことがないために、フロントエンド(html/css/JavaScript etc..)に挑戦したものの、自分には向いていないなーと思い、次はバックエンドに挑戦したものの、またまた自分には向いていないなーを繰り返し...企業での時間を無駄にしつつ、ダメなやつという評価を受けてしまう可能性があるため、自分にとってもマイナスになってしまうでしょう。

「エンジニアになりたい!」と思ったのなら、エンジニアがどんな仕事なのかを徹底的に調べてみて下さい。ひとえにエンジニアといっても、様々な分野が存在しています。自分がどの分野に進みたいのか、どのような技術に触れてみたいのか。それを事前に調べて理解せずに、仕事を始めることに恐怖を感じてください。

興味のない分野に進んで1000万円稼ぐのと、事前に念密に調査をして興味のある分野に進んで1000万円稼ぐのと、どちらが良いでしょうか。

まとめ

一言で言うならば「企業もボランティアでやっているわけではない」ということです。それでもインターンやアルバイト、正社員を未経験の方からも募集しているのは一番に人手不足であるからです。たとえ、未経験の方であっても才能溢れるダイヤモンドの原石のような方がちょくちょくいらっしゃいます。企業からすれば、その原石を磨き上げて、社内で活躍してもらうことが1番の利益なわけです。
今回紹介した言葉に該当する考え方を持つことは自由ですが、伝えないように伝わらないようにするのが賢い戦略でしょう。磨き上げた直後に爆発して粉々になってしまうと分かっているダイヤモンドを磨く人はおそらくいませんから。

せひ、一度、自分のプロフィールを見返して見て下さいね。

おまけ: 企業インターンの探し方について

そもそも、インターンの募集を見つけることが出来ないという方のために当時、私がどのようにしてエンジニアの企業インターンを見つけたのかをご紹介しておきます。インターンを見つけるのには「Wantedly」というサービスを使用しました。

www.wantedly.com

検索して「面白そうだな」と思ったら「話を聞いてみたい」をクリック。何も連絡が返ってこないことも多いですが、運が良ければ企業から返信が来て、面接の日程調節などに進むことが出来ます。

Wantedlyでは希望するものが見つからなかった場合には企業に直接、インターンをさせてほしいという営業をすると良いです。公開はされていないものの案外すんなりとインターンを受け付けてくれる企業がありますが、インターンのお願いの仕方、マナーには気をつけましょう。

【モジュールとの比較】Elixirで無名関数を使って再帰処理を記述する方法

無名関数では再帰処理が難しい

Elixir再帰関数を記述しようと思った際には、defmodule Fooと定義して、そのモジュール内部にdef barのように関数を定義して、パターンマッチもしくは、分岐処理によって再帰関数を処理するのが一般的。

defmodule Sample do
  def sum([], acc), do: acc
  def sum([head | tail], acc) do
    sum(tail, acc+head)
  end
end

Sample.sum([1,2,3], 0)
|> IO.puts()
# 6

しかし、わざわざモジュールに定義したくない時、対して使い回す予定もなく、1回きりの再帰処理が書きたい場合には上記のようにモジュールを定義して、再帰関数を記述するという方法は煩わしいとも言える。とすると、使い切りの関数として候補にあがるのは無名関数ということになる。
しかしながら、工夫なしに記述した無名関数では再帰処理を行うことが出来ない。それはなぜか。以下のコードを元に話を進める。

sum_ = fn lst, acc -> 
  case lst do
    [] -> acc
    [head | tail] -> sum_.(tail, acc+head) # <- ここでerror
  end
end

sum_.([1,2,3], 0)

実行結果

warning: variable "sum_func" does not exist and is being expanded to "sum_func()", please use parentheses to remove the ambiguity or change the variable name
  Main.exs:4

このerrorから読み取るに4行目に記述しているsum_.(tail, acc+head)が実行不可能であるということ。それはなぜかというと、sum_/2関数のスコープが無名関数の内部からは参照出来ないからということになる。つまり、Elixirの無名関数は自身を自身で参照することが出来ないということになる。それに対してモジュールに定義された関数は自身のスコープを参照可能ということになっている。

ということで一工夫

色々と試行錯誤して以下の形に落ち着いた。レシピとしては無名関数の内部で別の無名関数を定義して、その無名関数自身を引数に渡して、再帰的に呼び出すことで先ほどのスコープ対象外になる問題を解決した。全く勉強したことがないが、ラムダ計算の分野からの知恵を借りた。

sum_ = fn arg_lst ->
  # 自分自身を引数に受け取ることでスコープ問題を解消
  sub_sum = fn lst, acc, own_func ->
    case lst do
      # 終了条件を記述
      [] -> acc
      # 自分自身を呼び出し、引数にも自分自身を渡す
      [head | tail] -> own_func.(tail, acc+head, own_func)
    end
  end
  # 内部で定義した無名関数を実行
  sub_sum.(arg_lst, 0, sub_sum)
end

# ついでにアキュムレーターを内部化
sum_.([1,2,3])
|> IO.puts()
# 6

無名関数の内部で別の無名関数を定義して、その無名関数自体を、その無名関数の引数に渡すという頭がおかしくなりそうな一手間を加えることで無名関数でも再帰処理を行うことが出来る。合計値を求めるだけのシンプルな処理なので可読性は何とか保てているが、より複雑な処理を行うとなると、無名関数での再帰処理には首を傾げることになる。コードの行数もシンプルにしようとしているのに行数が増えてしまっている。

「使うな!」とまでは言わないが、趣味用であり、チーム開発での使用は避けるべきだと感じた。こういうの好きだけど。せっかく覚えた知識なので、いくつかサンプルを記述した。モジュールとの比較もしているので可読性の悪さを感じてみてほしい。

サンプル

リストの各要素をN倍に

無名関数ver

n_times = fn n, lst -> 
  sub_n_times = fn lst, acc, own_func ->
    case lst do
        [] -> acc
        [head | tail] -> own_func.(tail, acc ++ [head * n], own_func)
    end
  end
  sub_n_times.(lst, [], sub_n_times)
end

n_times.(2, [1,2,3])
|> IO.inspect()
# [2, 4, 6]

モジュールver

defmodule Sample do
  def n_times(p, lst) do
    _n_times(lst, p, [])
  end
  defp _n_times([], _, acc), do: acc
  defp _n_times([head | tail], p, acc) do
    _n_times(tail, p, acc ++ [head * p])
  end
end

Sample.n_times(2, [1,2,3])
|> IO.inspect()
# [2, 4, 6]

というかEnum.map/2で良いのでは説。

enum_map_ver = fn p, lst ->
  Enum.map(lst, fn n -> n * p end)
end

enum_map_ver.(2, [1,2,3])
|> IO.inspect()
# [2, 4, 6]

クイックソート

以前の記事で記述したクイックソート(先頭要素をpivotとして取得するversion)を無名関数の再帰処理を用いてリライトしてみた。書いた感想といてはモジュールの方が楽だなというのが正直な感想。書き切った時は嬉しいが、後に見返してみるとそれぞれの関数の引数のスコープがどこまで参照可能なのかが分かりにくく、やはり可読性に欠ける。

無名関数ver

quick_sort = fn base_lst -> 
  append = fn sorted_lst, pivot ->
    sub_append = fn lst, acc, own_func -> 
      case lst do
        [] -> acc ++ [pivot]
        [head | tail] -> 
          if pivot > head do
            own_func.(tail, acc ++ [head], own_func)
          else
            acc ++ [pivot, head] ++ tail
          end
      end
    end
    sub_append.(sorted_lst, [], sub_append)
  end
  Enum.reduce(base_lst, [], fn p, acc -> 
    append.(acc, p)
  end)
end

quick_sort.([8,2,6,5,7,3,1,4,9])
|> IO.inspect()
# [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9]

モジュールver

defmodule Algo do
  def quick_sort(lst), do: _quick_sort(lst, [])
  defp _quick_sort([], accum), do: accum
  defp _quick_sort([head | tail], accum) do
    res = append(head, accum, [])
    _quick_sort(tail, res)
  end
  def append(num, [], accum), do: accum ++ [num]
  def append(num, [head | tail], accum) do
    case num > head do
      true -> append(num, tail, accum ++ [head])
      false -> accum ++ [num] ++ [head] ++ tail
    end
  end
end

おまけ

こんな風に記述しても無名関数で再帰処理を行うことが出来るが、使用者に対して、引数に無名関数を渡すことを意識させる必要があるため、ナンセンスだとは思うが、分かっていて使うのであれば、コード量は減るので悪くはないと思う。

sum_ = fn lst, acc, func -> 
  case lst do
    [] -> acc
    [head | tail] -> func.(tail, acc+head, func)
  end
end

sum_.([1,2,3], 0, sum_)
|> IO.puts()
# 6

参考文献